セルフメディケーションを実践することで、健康に対する意識を習慣化し、税制優遇を受けられるなどのメリットがあります。
しかし、誤った自己判断で治療をすることで、症状が悪化したり、薬物の乱用につながるリスクもあるので注意が必要です。
セルフメディケーションを行うには、正しい医療と薬の知識を身につけ、状況に応じて医療機関を適切に活用することが重要です。
セルフメディケーションを実践しようと考える時、このような疑問や悩みを抱えたことはありませんか?
セルフメディケーションとは、自分自身の健康に対して責任を持ち、軽度な不調は自分で治療することです。
セルフメディケーションを実践することで、健康に対する意識を習慣化し、税制優遇を受けられるなどのメリットがあります。
しかし、誤った自己判断でセルフメディケーションを行うと、病状を悪化させたり、薬物の乱用につながる可能性もあるため慎重に行うことが重要です。
本記事では、セルフメディケーションについてのメリットやデメリット、セルフメディケーション税制と医療費控除の違いなどについて詳しく解説します。
これからセルフメディケーションを検討される方は、ぜひ参考にしてください。
セルフメディケーションの定義と目的
世界保健機関(WHO)におけるセルフメディケーションの定義は、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」です。
例えば、風邪のひきはじめ、頭痛や胃腸の不調など軽度な症状に対して市販の薬を上手く利用して健康維持や病気の改善を自分で行います。
セルフメディケーションの考え方は、日本人の高齢化や生活習慣病の増加に伴う国民医療費の負担増加が背景にあり、少しずつ広まってきました。
セルフメディケーションの主な目的は、健康管理を自分で行うことにより、病院への不必要な受診を減らし、医療機関の負担を軽減することです。
また、個人の日頃の健康管理を促し、病気の予防につなげることを目的としています。
セルフメディケーションのメリットを紹介
セルフメディケーションを行うメリットについてご紹介します。
セルフメディケーションを行う際の参考にしてください。
自己の健康管理を習慣化できる
セルフメディケーションを行うことで、自己の健康管理を習慣化できるようになります。
普段の生活習慣の中で、体調の変化や不調を察知することで、早めに病気を予防でき、対処できます。
健康を維持するためには、バランスのとれた食事、質の良い睡眠、適度な運動を意識することが重要です。
自身の体についての理解を深めることで、予防や健康管理がしやすくなり、長期的には生活習慣病の予防にも繋がります。
病気や薬の知識を学ぶことができる
セルフメディケーションを行うことで、病気や薬の知識を学ぶことができます。
自分の体調が不調の場合、症状を調べて病気の詳細を確認し、薬の使い方、効果、副作用を理解した上で治療します。
自己判断する上での判断材料になるだけでなく、病院で診察を受けた時の予備知識となり、医師と相談しやすくなるのも利点です。
病院で受診する手間や時間を節約できる
セルフメディケーションを行うことで、病院で受診する手間や時間を節約することができます。
受診するための予約の手間や受診までの待ち時間、診察にかかる時間、薬を処方してもらうまでの時間などです。
忙しい人にとって、無駄な時間を省ける点は大きなメリットになります。
また、軽い症状を自分で治療することで、診察にかかる費用負担も削減できます。
通院が減ることで国民医療費が削減される
セルフメディケーションを行うことで、軽い症状での病院への通院が減り、国民医療費の削減につながります。
全体の国民医療費が削減されることによって、一人一人の保険料や税負担が軽減される可能性があります。
国民医療費の増加は、国の財源支出に大きな負担がかかり、医療システム全体の維持が困難になる可能性があるため重要な問題です。
セルフメディケーション税制による所得控除を受けられる
セルフメディケーション税制によって、税制優遇を受けることができます。
健康や疾病の予防に関する取り組みを行っている者で、その年に生計を一にする配偶者などの親族のために1万2千円を超える対象医薬品を購入した場合、所得税控除を受けられる仕組みです。
ただし、通常の医療費控除は受けられなくなります。
セルフメディケーションのデメリットを紹介
セルフメディケーションのデメリットをご紹介します。
セルフメディケーションを行う際の参考にしてください。
誤った知識で薬を購入し、体調を悪化させる
セルフメディケーションを行う際、十分な病気や薬の知識がない場合、誤った市販薬を購入する可能性があります。
自分の症状に合った薬と思って購入しても効果がなかったり、副作用が出て症状が悪化するリスクもあります。
自己判断で薬を購入する場合は、ドラッグストアに勤務している専門スタッフに相談するなど慎重に購入することが重要です。
重大な疾患の発見が遅れる可能性がある
セルフメディケーションのデメリットとして、薬や病気の知識を過信して重大な疾患の発見が遅れるリスクがあります。
軽い風邪だと思っていた症状が、実は重大な疾患の初期症状である場合、放置すれば症状が悪化し、医師に相談しても手遅れになる可能性があります。
セルフメディケーションに頼りすぎず、異常を感じた際には医師の診察を受けることが重要です。
セルフメディケーション税制の詳細について解説
セルフメディケーション税制の利用方法や医療費控除との関係について説明します。
セルフメディケーション税制について気になる方はぜひ、参考にしてください。
セルフメディケーション税制の利用条件と申請手順
セルフメディケーション税制を受けられる条件は、健康の保持増進及び疾病の予防に関する一定の取り組みを行っている居住者です。
そして、その年中に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために1万2千円を超える対象医薬品を購入した場合となります。
セルフメディケーション税制の利用手順は以下の通りです。
- ドラッグストアなどでセルフメディケーション税制対象医薬品を購入している
- 購入時のレシートを保存している
- 世帯購入合計が1万2千円以上
- 申告の年に予防接種や健康診断など健康のための一定の取り組みを行い、結果通知表や領収書を保管している
- 紙、もしくは電子で申請書を記入し、確定申告を行う
セルフメディケーション税制と医療費控除の関係性
セルフメディケーション税制と医療費控除は、それぞれ異なる条件で所得税控除を受けられる税制優遇制度です。
しかし、セルフメディケーション税制または医療費控除のいずれかしか受けることができないので注意してください。
セルフメディケーション税制と医療費控除の参考例を紹介します。
・セルフメディケーション税制
(一例)
年収500万円の場合(所得税率20%)
対象医薬品年間購入額 3万円(下限額1万2千円を差し引くと1万8千円)
※上限8万8千円
控除額1万8千円×所得税率20%=3,600円
所得税3,600円の減税効果
・医療費控除
1年間にかかった医療費の合計が10万円以上または総所得金額の5%のいずれか低い金額が条件となります。
(一例)
年収500万円の場合(所得税率20%)
医療費20万円(下限額10万円を差し引くと10万円)
控除額10万円×所得税率20%=2万円
所得税2万円の減税効果
年収500万円で、年間の医療費が20万円以上かかった場合は、医療費控除がお得です。
一方、医療費が10万円未満の場合は、セルフメディケーション税制を利用した方がメリットがあります。
家庭の収入や保険の状況などによって控除額は異なるので事前に確認することが重要です。
セルフメディケーションに適した対象商品一覧
セルフメディケーションに該当する市販薬の一例をご紹介します。
市販薬を購入する際、第一類医薬品は副作用の可能性も高いので、購入前に必ず専門スタッフに確認してください。
商品 | 効能 | 分類 |
---|---|---|
ロキソニン | 生理痛・頭痛 | 第一類医薬品 |
ファモチジン錠 | 胃の痛み | 第一類医薬品 |
ガスター10 | 胃の痛み | 第一類医薬品 |
イブA錠 | 頭痛 | 第二類医薬品 |
バファリン | 頭痛 | 第二類医薬品 |
パンシロン | 胃の痛み | 第二類医薬品 |
ガストール錠 | 胃の痛み | 第二類医薬品 |
ムヒAZ錠 | 肌荒れ、かゆみ | 第二類医薬品 |
アルガード | 目のかゆみ | 第二類医薬品 |
パンテリン | 肩、関節の痛み | 第二類医薬品 |
フェイタス | 肩の痛み | 第二類医薬品 |
パブロンS | 風邪薬 | 第二類医薬品 |
新コンタック | 風邪薬 | 第二類医薬品 |
エフコート | 虫歯予防 | 第二類医薬品 |
セルフメディケーションの注意点を紹介
セルフメディケーションを行う際の注意点をご紹介します。
セルフメディケーションを誤った方法で行うと体調を悪化させる可能性があるので、慎重に行うようにしてください。
医療や薬の正しい情報と知識を身につける
セルフメディケーションを行うためには、医療や薬の正しい情報と知識を学ぶことが重要です。
薬の種類や効能、副作用を十分に理解せずに使用すると、誤った薬の選択をする可能性があります。
自分の症状に最適な対処法を薬剤師や医師に相談しながら見つけることが重要です。
自己判断と医師への相談のタイミングを使い分ける
セルフメディケーションを行う場合、自己判断と医師への相談のタイミングを誤らないようにしてください。
軽い症状はセルフメディケーションが有効です。しかし、症状が悪化したり長引いたりする場合は、早めに医師に相談することが大切です。
特に、高齢者や持病を持っている場合、誤った判断をすると手遅れになる可能性があるので、慎重に行動することが大切です。
セルフメディケーションについてよくある質問
セルフメディケーションについてよくある質問をご紹介します。
この内容を理解することで、スムーズに実践することができるので、ぜひ参考にしてください。
セルフメディケーションは誰でも行って良いのですか?
セルフメディケーションは基本的に誰でも行うことができますが、全ての人に適しているわけではありません。
例えば、妊婦や高齢者、持病持ちの方、子どもなどは慎重に行う必要があります。
誤った判断で治療を行うと、病状を悪化させる可能性があるため、医師や薬剤師に相談してください。
セルフメディケーションで使えるサプリメントはありますか?
セルフメディケーションで使用できるサプリメントもありますが、すべてが効果的で安全というわけではありません。
ビタミンやミネラルなどは健康維持や予防に有効ですが、過剰に摂取することで副作用が出る可能性もあります。
使用する際は、製品の品質や成分、適切な使用量を確認した上で選ぶことが重要です。
また、持病がある場合や薬を服用している場合、サプリメントが症状を悪化させる可能性があるため、事前に医師に相談するようにしてください。
まとめ:セルフメディケーションは、正しい情報と知識を身につけて行うことが大切
今回の記事では、セルフメディケーションについて解説しました。
セルフメディケーションとは、自分自身の健康について責任を持ち、軽度な病気は自分で治療することです。
セルフメディケーションを行うことで、自分の健康に対して意識する習慣が身に付いたり、一定の条件の基に税制優遇を受けられます。
しかし、誤った自己判断で治療をすることは、病状を悪化させたり、薬物の乱用につながる可能性もあるため、慎重に行うことが重要です。
これからセルフメディケーションを考えている方は、本記事を参考に、正しい知識を身につけて適切に実践してください。
セルフメディケーションを通じて健康意識を高め、豊かな生活を手に入れましょう。